◎サンマでサンバ・・・ああ、だいこん乱◎
『緊張と緩和のサスペンス』
サンマでサンバ・・・ああ、だいこん乱
大竹沙織、28歳、独身、一人暮らしのマンション住まい。今日も沙織は、いつものように職場帰りに、女友達3人と、カラオケで2.3曲と、ウイスキーの水割りを軽く 2.3杯飲んだあと、閉店間際の近所のスーパーで、今夜のおかずを買って、マンション5階の我が家へと、帰るのであった。
カチッと、鍵を開けると、ほろ酔い気分で、中森明菜のデザイアを鼻歌まじりに歌いながら、玄関扉を開けて、内玄関の灯りを付けると、部屋へ入るのである。
ピーン・・・と張り詰めた空気・・・一人暮らしにとって、この時が一番不安な一瞬だった。
ガサ!
『誰!? 誰かいるの? 和也なの?』
何やら人の気配が・・・咄嗟に、携帯電話で彼氏にコール・・・
『誰? 出て来なさいよ! ・・・ははあ〜 空き巣ね・・・!』
『空き巣じゃありません。』
突然、野球帽を目深に被った一人のやさ男が、ソファーの後ろから、すーっと現れると、
沙織は、はっとして、その場に立ち尽くすのである。
部屋の電気は消えてはいたが、ベランダの外からの灯りと内玄関の灯りに照らされて、うっすらとそのシルエットが現れたのである。
気を取り直すと、
『何よ! 空き巣じゃないって・・・!?』
沙織は、スーパーの袋からさっき買ったばかりのサンマを掴んで身構えるのである。
『誰よ!? 何をしていたの? どこから入ったの? ・・・ 何か答えなさいよ?』
左手に、携帯電話、右手に、サンマを振り上げて、
『もうすぐ、彼が来るわ・・・!』
部屋のわずかな明かりに照らされて、サンマは、キラリと光るのだった。
『刃物は、ダメですよ! 刃物は・・・!』
『勝手な事を言わないでよ! 勝手に他人の家へ上がっておいて・・・ あっいいのか! 勝手に上がったから勝手な事を言うのか? ダメダメ! そうじゃなくて、早く部屋から出て行きなさいよ!・・・ 今なら何も無かった事にしてあげるから・・・。私、こう見えても、病院に勤めてて、手術で、刃物や人の血には馴れているのよ。 甘く見ないでね!・・・ちょっと待って、ダメダメ! その前に何処から入って、何をしたのかを、ちゃんと答えてよ!』
『落ち着いてくださいね・・・。 すみません。玄関の鍵を開けて入りました。こそ泥です。何も取らずに、・・・今すぐ出て行きますから・・・。』
『今すぐ出て行きますから・・・? 当たり前じゃない! それに、「こそ泥」と「空き巣」おんなじじゃない。 あっキス?・・・こそ泥でいいわ、こそ泥で・・・。』
『今、出て行きます。左へ、こう廻りますから・・・』
『止まって!』
『止まるんですか?』
『泊まる? 違う、違う、泊まっちゃダメ! 帰って! そうね! 分かったわ、止まって! ダメダメ! 動いて!』
男は、なんとか左回りで、沙織と入れ替わると、玄関へ行き扉を開けて、振り返ると、
『なんだ、サヨリじゃないか?』
『サヨリじゃ無いわよ! 沙織よ!』
『いや、そうじゃなくて、名前じゃなくて、サ・ヨ・リ、・・・あ〜、な〜んだ、サンマか・・・!』
『サンバじゃなくて、助産婦よ!』
『いや、刃物の事ですよ!』
『ハモ? ああ〜、これ、サンマじゃなくて、ハモだったの?』
『いや、サンマですよ!』
『サンマでしょ! いいんじゃない、。これサンマだと思っていたもの!
・・・あら、あなた、サンマさん???』
『いいえ! 新助です!!!』
THE END
後書き
何とか、たたみかけるような緊張感を表現したかったのだが・・・
いまいち、くだらない内容になってしまった。
狙いだけは、分かってくれますよね・・・・。
まあ、これは、これで、いいかな・・・?
緊張と緩和か、この作品自体が、緩和ということで・・・。
おまけ・・・オンブバッタを見つけた
オンブバッタのオスとメスは、昔は同じ大きさだったのだろうか。それでは、オスが小さくなったのか? それとも、メスが大きくなったのか? という疑問が残る。
「オスの餌をメスに回す為に、オスが小さくなった。」というのは、餌の草は、沢山ありそうだから、どうも考えにくい。やはり、「子孫繁栄の為、卵の数を増やす」という選択肢を選んだ為に、メスだけ大きくなったのだろうか・・・?
理屈はともかく、オンブバッタを見つけると、『おう、君たちも頑張ってるね!』と、微笑ましいその姿に、エールを送らずにはいられない。
ただ、残念ながら、最近は、とんと人間界で”オンブする姿”を見かけなくなった。子供との触れ合いの手段をどんどん捨てていく・・・絶滅危惧種は、人間だったということか・・・?
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