◆とりちがい連続 殺鳥事件◆
とりちがい連続 殺鳥事件
登場人物?
カッコウの夫婦
ホオジロの夫婦
蛇
鷹(タカ)
カッコウの子
本編
ある雨上がりの初夏、キラキラと木漏れ日のまぶしい朝のことだった。森の中で、ホオジロの夫婦が、巣作りも終り卵を抱いていた。さらにその上の枝には、カッコウの夫婦も卵を抱いていた。それを木の根元からそっと様子を伺う一匹の蛇があった。
ホオジロが餌を取りに飛び立った隙をついて、蛇はするすると木を這い上がる。とっさに、ホオジロのお母さんも、異変に気がついて、慌てて巣に戻ると、こう言うのだった。
『蛇さん、私の卵を食べようと言うのね! 待って、この上の枝には、カッコウの大きな卵があります。カッコウの卵を食べてください。お願いです。私たちの卵は、見逃してください。』
蛇は、クールに、
『お前は、ずるいやつだ。自分の卵を守るために、私にカッコウの卵を食べろと言うのか? それでは、はじめに、おまえの卵から食べることにしよう。』
『ダメよ、ダメ! 誰か助けて、・・・!』
ホオジロの声を聞きつけて、カッコウの夫婦も、異変に気がつくと助けにやってくる。
しかし、蛇は、ついにホオジロの卵をぱくりと食べてしまうのだった。お腹いっぱいとなった蛇は、ゆるゆると帰っていくのでした。
蛇に卵を食べられたホオジロの夫婦は、オイオイと、涙を流して、悲しんだのだった。
一方、これと同時に、太陽を背にした高い梢の陰から、じっとホオジロと蛇とカッコウの一部始終を見ていた一羽の鷹があった。
カッコウの巣が、がら空きとなった隙をついて、鷹は急降下すると、カッコウの巣から卵を一つずつ食べようというのだった。
カッコウの夫婦も、気がついて、卵を守ろうと、鷹に体当たり噛み付いたり、必死に戦うのだったが、カッコウの夫婦も鷹に攻撃され傷ついてしまう。
この戦いで、カッコウの父は、鷹の鋭い爪で傷つき死んでしまうのだった。
この戦いの中、偶然、カッコウの卵が一つ、大きな弧を描いて、ホオジロの巣にポトンと落ちてしまう。鷹は、帰りの駄賃とばかりに、お腹いっぱいの蛇をわしづかみにすると、そのまま空に、飛び去ってしまうのだった。
ホオジロは、カッコウのお母さんに近づくと、
『カッコウさん、しっかりしてください。鷹に襲われたカッコウさんの卵は、1つだけ、私たちの巣に落ちてぶじですよ。』
カッコウのお母さんは、最後の力を振り絞って、
『ホオジロさん…、お願いがあります、残った卵を育ててもらえませんか?』
ホオジロのお母さんは、ためらいながらも、意を決して、うなずくと、
『カッコウさんのお父さんは、大切な卵を守ろうと鷹と必死に戦って死んでしまいました。
一方、私たちの大切な卵は、蛇に食べられてしまいました。一つだけ残ったカッコウさんの卵は、私たちがりっぱに育てましょう。』
『ありがとう、ホオジロさん。でも、大きくなったら、空の飛び方だけ教えてください。それ以外は、何も教えなくて結構ですから……。』
というとカッコウの母親も、力尽きて死んでしまうのだった。
ホオジロは、この卵を抱いて、雛が生まれると、我が子のように、大切に育てるのだった。
そして時が過ぎ、カッコウは、ホオジロを実の親だと思い込んで、仲良く暮らすのでした。
。
やがて、このカッコウの子もひとり立ちし、おとなになり、卵を産む季節がやってきたのです。しかし、カッコウの子は、巣の作り方を教わっておらず、困ってしまい、記憶を頼りになんとか昔を思い出すのだった。
そこにあの時の鷹がやってくる。
『どうしました、カッコウさん?』
『巣の作り方を母親から、教わらなかったのです。わたしの記憶にあるのは、巣の中にいて、毎日親鳥に餌を運んでもらったことだけなのです、どうしたら良いのでしょうか?』
『カッコウさん、良いことを教えましょう、おなたは、ホオジロの巣に卵を産めばよいのですよ。あなたの卵は、ホオジロが温めて、雛にかえして、ホオジロが餌をはこんで、育ててくれますよ。あなたの親は、ホオジロなのですから、これで良いのですよ。』
それからというもの、カッコウは、代々ホオジロの巣に卵を託すようになるのでした。
※この話、結構奥が深くないですかね……?
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